特発性過眠症と猫と

特発性過眠症と診断された筆者の病気の経緯と、一緒に暮らしている2匹の猫との暮らしの日記。終わりたいけれど、生きなくては、とも思う心の不安定な様を不定期更新しています。

1日の半分を占める仕事のこと|特発性過眠症と猫と

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この会社に転職してから、2年強経った。
信濃町から今の西新宿の勤務地に移ってからは1年4ヶ月。

忙しいこの仕事場に初めは何もかもがわからず、
かなりの神経と体力を消耗した。

会う人会う人に激ヤセしたけど大丈夫?!
といわれる始末だ。
若い頃なら、もう無理!
と諦めたかもしれない。
でも色々な経験を経てきて、仕事に関しては
現状に嘆くよりも、仕事を覚えればもう少し楽になるはず、
と先を見ることができるようになっていた。

最近は点だったものが線になり、
何に対してもあたふたすることが少なくなった。
それでも1日が終わるとぐったりする。
物凄く集中力と緊張感を持っていたことがわかる。


わたしの仕事は、
大きな施設に小さなスペースを借りている外注業者で、
そこに常勤する私たちは駐在員と呼ばれている。

当然、外注に出される仕事を請け負い、
その仕事を処理する。
駐在員は1つの施設に1〜3人で、
わたしのいる施設はわたし含めて2人だ。
早番遅番とあり、早番の時はもちろん
朝1人なので遅刻は許されない。

早番の週はドキドキハラハラ緊張マックスだ。

もう1人の駐在員は、勤続30年程の大ベテランで
さらに資格も持っているので知識も豊富。
色々教えてくれるが、基礎のところが出来ていないわたしにとっては
その半分くらいしか理解が出来ない。

色々叱られたりもする。

仕事のことなら受け入れられるが、
何だかとても不条理に思うことで叱られることもある。
さすがにムカッとするが、
色んなことに紐付いてのお叱りなんだろうなと思うと、
受け入れざるを得ない。

彼女はB型で、だからなのかわからないが、
言いたいことは黙っていられないので全部言うし、
思いついたことは即行動するし、わたしにも強いる。
正直きつい性格といえる。
彼女は気に入らない駐在、営業を何人も辞めさせて来た人だ。

この人の下にわたしをやることを
実は所長はじめみんなが心配していたらしい。
でも近頃はわたしの仕事も認められつつあり、
任せてくれる時もあるし、
無理難題を突きつけてくることが少なくなった。
それだけでストレスも軽減する。

今は彼女とやれるのはわたししかいないかも、
という評価に変わっている。

彼女は時々わたしに言う。

”我慢強いよね。私にガーガー言われてムカつかないの?
いつも穏やかだけど、もうお前となんかやってられるか!!!
ってならないの?”と。

試していたんだな、と思いながら、

”なりませんよ。
言われるのはわたしが出来ないからであって、
それは経験に繋がるのだと受け止めています。
それにわたしは感情を爆発させることってほとんど無いんです。”

と答える。

タイプの全く違う私達だが、
何と無くうまくいきそうな気がして来ている。
それに、わたしと仕事をする様になってから
彼女がずいぶん柔らかくなった、と言う声もある。
ギスギスした職場は嫌だ。
だからちょっと嬉しい。


わたしは電話が苦手なのだが、
絶え間なく電話がなる日もある。
その場で解決できる問い合わせの時もあるし、
調べなければ答えられないこともある。
そして調べることに集中できればいいが、
容赦無く次の電話が鳴りどれも解決できないまま次々と問い合わせを受ける。
優先をつけようにもどれも急ぎの案件で優先がつけられない。

何もかもなかったことにして逃げ出したくなるのだが、
そうもいかない。
悪い頭をフル回転させて気持ちを落ち着けて、
1つ1つやっていけば終わりはある、
と黙々とこなす。電話だけではない。
色んな雑務も非情なスピードで襲ってくる。

必死。

こういうことを言うのだろうな。と思う。

1時間の昼休みにはおむすび2つを20分で食べて、薬を服用し、
残りの時間は食堂を出て薄暗い講堂で耳栓をして仮眠する。
主治医から、仮眠は禁止されているのだが、
ザワザワガチャガチャした心をリセットさせるために違反。

この時間だけが誰にも邪魔されない時間。
気持ちを緩めることができる。

見えないところがじわじわと蝕まれているのかもしれないが、
我ながらよく身も心も持つものだと、
丈夫に産んでくれた両親に感謝をする。

今のところはまだ動くことが出来ている。

なぜそんなにこの仕事に固執するのか。
他の道もあるのだから、と言われることもある。

わたしは今までブラックといわれる職場でしか働いたことがない。
選ぶところがいつもブラックだったのだ。
解雇後、1年少し仕事探しをしてやっと縁のあったこの会社は、
給料は高くないが、僅かだが昇給や賞与もある。
有給も増えていくのだ。
福利厚生もしっかりしていて社会保険だ。
当たり前のことなのかもしれないがこれらの環境の整った会社にいられること、
ありがたくて、簡単には辞めたくはない。
長い求職期間には何十社と受けたが、このような条件の会社は1つもなかった。
大手を受けていればあったのかもしれないが、
大手にはわたしの希望する職種はなかったのだ。

わたしの仕事には、結果を待つ人達がいる。
その人たちの為に必死になってやっている毎日。
やりがいもある。
もっと勉強してあの人に頼めば大丈夫、と認められる駐在員になりたい。



特発性過眠症と共に仕事を続けるのはやや大変だ。
でもこれも試練。
もっと苦しい病と闘っている人は沢山いる。
わたしなんて全然大した苦労ではない。



最近偶然知ったのだが、ナルコレプシーとHLAの関係。

HLA(Human Leukocyte Antigen)とは、白血球の血液型。
HLAは拒絶反応など、自己と他者を区別しコントロールする役割をもっている。
HLAとの関連がある病気は、いくつかあって、
それは全て自己免疫疾患だ。
(本来自分を守るべき免疫機能が、なんらかの理由で自分自身を攻撃してしまう病気)

ナルコレプシーの99%以上は、HLAが特定の型を持っていることがわかったらしい。

日本のナルコレプシーの患者さんは、
HLA-DRB1*15:01-DQB1*06:02
という遺伝子型の組み合わせを持っていることが特徴で
ナルコレプシーの発症原因も
自己免疫疾患なのではないかと考えられ研究が進められているが、
まだ明確な証拠は得られていない。
そして、一般健常者の12~13%がこのHLA遺伝子型を持つため、
このHLA型の有無は診断基準には入っていない。

というものだ。

なかなか興味深いと思った。
HLA検査をした事もする予定もないが、(保険通っていないし)
でも機会があったらしてみたいと思った。

わたしはナルコではないが、
以前、DR.がナルコと診断できない過眠症は特発性過眠症過眠症という診断になる、
と言っていた。

その特発性過眠症もいくつかに分類されるのだが、
今も原因不明、治療法も見つかっていないのだろう。
薬で症状を抑えられる様に調整するのみだ。

特発性過眠症にも何か手がかりがあればいいのに。
何か、れっきとした病気なのです、というものが欲しい。
そうすれば、周りの人も少しはわかってくれるのではないか、
と思う。

わたしの場合、実家に帰って仕事もせず療養する事になったら、
間違いなく甘えが出て堕落するだろう。
病と甘えで何日も寝たきりになることは目に見えている。
身内だからって迷惑はかけたくない。

だからやっぱり仕事をして、
強制的に起きて眠気と戦いながら過ごすことは大切で、
それで完治することがあるのかはわからないが、
わたしはこちらの道を選ぶ。
自分の力でなんとかできるうちは。

甘えの出る環境はいけない。

だから明日も目覚めたなら
仕事に出かける。

3人の暮らしを守るために。
堕ちるくらいなら死を選ぶ。

頑張れわたし。

まだやれるはずだ。