ー治療をきちんとしたいー
と思い始めていた。
わたしが本来するべき事は、朝や日中の眠気から
解放される為に、処方された眠剤を服用し、
寝心地の良い布団で眠り、良質な深い眠りを得ること。
しかし実際に実行してみると
目覚まし時計6個は少し時間を進めておき
起床の1時間半前にセットし、
iphoneのアラームは、起床2時間前から1時間前までは
15分おきに、1時間前から起床時間までは
10分おきに鳴るようにセットしていた・・・
にもかかわらず、見事に寝坊し、
午前中の仕事に遅刻してしまう事、数回。
そして朝起きられずに、仕事に遅刻してしまう事を恐れて
処方された眠剤も飲まず、次の日の朝、
少しでも起きやすい様に、と硬い床で寝るように
なったのだが、こんな日々を送っていては、
まず、特発性過眠症は治らない。
こんな風に逃げてみたからわかったのだが、
恐怖から逃げているだけでは何も変わらない。
強くそう思い、社長にありのままを話した。
“ 辞めてほしくはないが、そういう事ならば
仕方が無いね。気が変わったらいつでもそういって ”
と理解をしてくれた。
ほっとした。
すると数日後、社長に呼ばれ、話しを伺うと
” 他の人から、あんたを辞めさせないでくれ、
とお願いされちゃってね。
あんたが担当している仕事も覚えるし、寝坊しちゃったら
すぐに電話くれればシフトに入っていない日でも
すぐに駆けつけるから。って言うんだよ。
俺もそう思うんだよね。
大丈夫だから、みんなでフォローするから
あんたはどんと構えて仕事を続けてくれれば
それでいいんだから、そうしてくれないかな ”
社長も周囲の人もわたしの病気を理解し
もっと協力するので辞めないで欲しい、
とまで言ってくれているのだ。
涙が出そうだった。
今後わたしが生きていく中で、
特発性過眠症という病気に対して、こんなに
ありがたい言葉をかけてもらえる事は
ないかもしれない。
一瞬、身を任せてしまおうか。
とも思ったのだが
2人体制のその職場は、わたしが寝坊し遅刻すれば
スムーズに仕事が流れない。
会社の信用問題にもかかわってくる。
その上、担当外の仕事を覚えてもらい、
わたしが寝坊してしまった日は、
わたしがそちらに着くまでお願いします。と
シフトに入っていない人を呼び出すなんて。
そこまで甘えてしまっては駄目だと思った。
申し訳なさすぎて気がおかしくなってしまう。
ありがたい提案だが、朝の緊張度が倍増し
お言葉に甘えて治療を・・などとは
とてもじゃないけれど出来ない。
そしてなにより、ゆっくりと布団で寝たかったのである。
きちんと治療をしたい。
わたしは、何をどうしたいのか
もう一度心の内を吟味し
そして、午前中の仕事を辞めた。